☆夕凪加計支部
「大河公民館まつりの記」
令和4年11月25日~11月26日
ほうたるに呼ばれて何もないところ 水口 佳子
松籟や海石に揺れる夏の月 飯田 和子
香水を一吹き少し上を向く 大津 洋子
のんびりとゆくのもよろし秋遍路 佐藤 悦子
夜の雨花アカシアの匂ひたつ 佐藤 淑子
夕蜩どこかに連れて行かれさう 下峠ゆう子
空蝉の光に透ける薄衣 伊達留美子
秋晴れやフラワーシャワーの瞬間 津田 礼子
聖五月涙止まらぬ十五歳 西濵恵美子
野仏の頭を飾る蔦紅葉 増原 一美
胸しぶき傘寿の挑むバタフライ 松﨑 文子
巻き螺子の緩みゆくごと喜寿の冬 湊崎 悦子
雨あがりほたる今宵の言葉編む 細木 復恵
澄む秋の重箱軽くなりにけり 横山カヨ子
「牛田青葉句会ロビー展」
令和5年10月14日~11月11日 東区牛田公民館1階ロビー
列島の場所を選ばぬ秋出水 川崎益太郎
藤の花被爆ピアノへ垂れ下がる 川崎千鶴子
台風よフェラーリに乗り駆け抜ける 門村 敏子
「もういいよ」こんな所に母子草 森崎 祐子
立春の風しろがねの光あり 坂木 寿枝
たつぷりの二の腕に風今朝の秋 石川まゆみ
燃ゆる赤鎮める白や曼殊沙華 白井 明子
コーヒーの流体力学寅彦記 高山 岩雄
秋風もトロッコ列車に乗り換える 西岡さち恵
定年の夫の背小さく草を引く 下岡美千代
能と琴響くチャペルや秋うらら 川島 幸子
第二回大塚俳句の会吟行
とき 令和5年10月25日(水)
ところ ひろしまゲートパーク周辺
秋風に川の水色軽くなる 藤本 陽子
冬隣イルミネーション飾り付け 沖津 信孝
晩秋を脱ぎて裸体のマネキン群 小林 昭博
行く秋や雁木に寄する波静か 小林 栄子
ひと歩き御門くぐれば菊花展 須山 和行
水澄むや折鶴二連枝先に 多田 美香
胎動のサッカー場よ秋高し 田中 章代
赤とんぼ「勝鯉の森」の銅版に 中野 和子
秋うららミストに子らの声はねる 西村 廣子
電車過ぐ残るドームと薄紅葉 吉田真知子
加計だより⑰
安芸太田町「文化・芸能フェスティバル」
とき 令和5年10月14日(土)~15日(日)
蘆の穂にこの世は傾いてをりぬ 水口 佳子
この歳でこんな恋してマスカット 水口 佳子
曼殊沙華ぽつんぽつんと忘れゆく 水口 佳子
晩年の夢揺れやすき藤袴 小西佐和子
神々を送り出雲の時雨ぐせ 堀江 広恵
知らせたき事あり父母の墓洗ふ 淺田 洋子
山里の灯りぽつぽつむかご飯 河野由美子
新涼や十勝岳から便り来る 斉藤久美子
ひと刷毛の雲をいただき運動会 齊藤たえ子
茶の花よいつのまにやら獣道 佐々木紀枝
堀めぐり船端ちかく萩尾花 藤川 陽子
かなかなに労はられてをり鍬洗ふ 吉尾 隆恵
青崎俳句会「青崎公民館 ふれあいフェスティバル」
とき 令和5年11月4日(土)~5日(日)
髪洗ふ余生余分なもの多く 藤本 陽子
川の字に猫と眠るや熱帯夜 大澤三重子
風に乗り川泳ぐごと鯉幟 竹重千加子
愛犬の意に引かれ行く夏の暮 中本 珠代
新涼や草の匂いの風通り 原 純子
浜木綿や角島灯台点灯す 三浦 絹子
新涼や親子四人のツーリング 山城みや子
山並みの続く車窓や夏の雲 吉田 尊子
三篠夕凪俳句会 「三篠公民館まつり」
とき 令和5年11月11日(土)~12日(日)
夜の桃いろいろあつたけど無傷 水口 佳子
夾竹桃の白いつせいに風の花 西濵恵美子
ひぐらしや泊ってゆくかと父の背な 中山勢津子
定位置に納まる器四日かな 三上フミヱ
千年の恋を取り合ふ歌留多会 有井まさ子
老いざかりたとへば一輪の野梅 平田香都子
昔々ジュリアナ東京銀杏散る 永井 勝弘
チューリップの弁当箱と行く青野 浜田 幸子
月白にベッドの乱れ影を濃く 浜田 開蔵
頬あかく酢飯扇ぐ子豊の秋 高橋 智子
取れたての魚は銀色夏まつり 柿川 節子
段原河童句会 「公民館まつり」
とき 令和5年10月21日~22日
月光のしづく致死量には足らぬ 藤本 陽子
木々の芽よ海の広さよふるさとよ 小松 清志
熱燗をか ゝげりリモート同窓会 下田あつ子
栗めしや天狗を追ひし話など 齋藤 靖恵
雑音のラジオを叩き昭和の日 森本ひろ子
三代の島の医院や青芭蕉 中村 文子
隣家よりジャスミンの香の惜しみなく 川合 和子
大鳥居の前に巫女立つ小春かな 松永 亜矢
行く秋や川面に鳥の影あまた 福永 操
つなぎたるてのやはらかしもみぢ狩 下田あつ子
風呂からが特等席や揚花火 殿村 礼子
かしましや無心に遊ぶ雀の子 長田 匡白
JA佐東句会だより
と き 令和5年7月2日
会 場 国際会議場フェニックスホール
春愁い消される「ゲン」の記憶かな 川崎益太郎
会えぬまま過ぎ行く日々や日向ぼこ 細田 順子
山笑う園児散歩の縄電車 渡部 聡子
婆ちゃんの初恋話初笑ひ 尾首 壽子
ひと息に飲み干す水や風光る 木村 幸枝
加計だより⑯ 葉月句会八幡吟行
TV「らんまん」放映記念」
と き 令和5年5月31日(金)
燕子花わらべに返る富太郎 淺田 洋子
まむし草覗き込みたくなる面輪
折れ折れに継ぐ板橋梅雨じめり
燕子花の濃くしてをりぬ風の色 河野由美子
八橋の折るる度居り蝮草
若葉山ハイカーの声吸ひ上ぐる
牧野氏まね面相筆で燕子花 斉藤久美子
牧野氏を辿る地に鳴く蛙かな
老鶯や最終章は惜しみなく
紫に白きひと筆燕子花 吉尾 隆恵
かきつばた牧野図鑑を飛び出して
光透く若葉層々ぶなの里
燕子花水のこぼれむ濃むらさき 齊藤たえ子
新緑や肝木の花あふれをり
薫風や山菜料理の食卓
三篠夕凪句会吟行
と き 令和5年6月12日(金)
ところ ひろしまゲートパーク
出席者 12名
消ゆるもの造らるるもの緑さす 中山勢津子
球場のなごり僅かや更衣 蒲池 正景
地下街の上を電車や薄暑光 浜田 幸子
サングラス犬にかしづき店を出る 平田香都子
カープユニホームの子犬夏きざす 有井まさ子
薫風や木陰に息を深深と 高橋 智子
六月の白き裸婦像胸を張り 柿川 節子
日時計を廻る黒蟻にも日差 水口 佳子
振り向けばドームがそこに梅雨の晴 三上フミヱ
香水と原爆ドームの瓦礫かな 浜田 開蔵
緑陰の蒸気機関車千馬力 西濵恵美子
公園の隅の機関車かたつぶり 永井 勝弘
草の実句会「二葉の里歴史の散歩道」吟行
と き 令和5年4月21日(金)
出席者 11名
猫も人も欠伸してをり春の寺 下峠ゆうこ
世を憂う心許なき花の雨 飯田 和子
金の観音銀の舎利塔春惜しむ 伊達留美子
留守番や初音の響く国前寺 松﨑 文子
葉桜や眼下の街に光射し 湊崎 悦子
桜しべ降るよ舎利塔の銀色 佐藤 淑子
迷いつつ寺尋ねればみちおしえ 横山カヨ子
花過ぎの明星院に友偲ぶ 津田 礼子
風光る新芽を出だす被爆木よ 大津 洋子
山藤のほろほろひつそりと祠 西濵恵美子
拉げゐて落椿とはもう呼べぬ 水口 佳子
畑賀俳句グループ秋季吟行
と き 令和4年11月28日(月)
ところ 瀬野川沿い・安芸区中野東随泉寺
出席者 10名
迷ひ来て山門くぐる冬の蝶 入野 和子
冬ざれや干上がつている手水鉢 村本 恭三
冬もみぢ瀬野川沿線歩きけり 樋藤 純子
冬日燦皇帝ダリアの揺らぎかな 阿地部エミ子
瓔珞の内なる飛天秋深し 弐百免啓子
合同墓に赤字の誌名龍の玉 田部紀美子
木の葉雨納骨堂の白き塔 原田 妙子
広縁の母の手仕事冬日向 矢野いつゑ
重ね着のまま神仏に手を合わす 竹内 睦枝
行つといでと背ナ押す夫や石蕗日和 波谷 櫻女
「仁保公民館まつりの記」
令和4年11月19日~11月20日
碧き目のトンボのピアス夏は逝く しのぶ
自転車と風になりたる花野かな しのぶ
一人居の時計の音や梅雨まぢか 素 美
お気楽に蜻蛉となりて飛ぶもまた 素 美
万緑や気持ちよく老い笑ひたる 志津子
鬼やらひ九十二個の豆の嵩 志津子
いわし雲平和の鐘のまた一つ 正 昭
天晴や黄金を降らす大公孫樹 正 昭
日に吠える虎めざさんと賀状書く 博 望
リラ咲くや白馬の姿態輝けり 博 望
いくたびの戦火をしのぎ咲くひまわり 里 季
雨やみて土の匂いや春浅し 里 季
バイオリンの洩れくる館薔薇の昼 房 子
滝壺に風立つ音のありにけり 房 子
ひまはりの迷路戦場へと抜ける 佳 子
鳥の恋こはい抽斗ひとつある 佳 子
「大河公民館まつりの記」
令和4年11月26日~11月27日
揺れおればわが身も軽し川柳 飯田 和子
真剣に遊びしひとひ星涼し 大津 洋子
夏の雲十年ぶりのパーマヘア 片山 京子
小石積む賽の河原や秋彼岸 佐藤 悦子
管楽の流るる校舎黄落期 佐藤 淑子
行暮れて峡には峡の天の川 下峠 ゆうこ
棗食みシルクロードを眼裏に 伊達 留美子
雪間草母の記憶に吾をみつけ 津田 礼子
夾竹桃の白いつせいに風の花 西濵恵美子
野仏の少し猫背や彼岸花 増原 一美
プール蹴る羊水蹴りし日のごとく 松崎 文子
つかのまの自由傘寿の夏帽子 湊崎 悦子
行商の大き風呂敷秋夕焼け 横山 カヨ子
朝の蟬祈りの椅子の並びをり 水口 佳子
「牛田青葉句会ロビー展」
令和4年10月8日~11月12日 牛田公民館1階ロビー
毛虫焼く未来の君を知らぬまま 川崎益太郎
水無月の母の水より生まれけん 川崎千鶴子
生も死も天与のものよ鉦叩き 森崎 祐子
風神の袋破れて寒四郎 高山 岩雄
小春日や眠ったままの鳩時計 西岡さち恵
「さおり織り」選ぶ横糸秋の色 門村 敏子
定年の夫の背小さく草を引く 下岡美千代
柿若葉まるごとの声よくとほる 坂本 寿枝
黙祷のサイレンますぐ雲の峰 白井 明子
泉に会ふ我等水より生まれ来て 石川まゆみ
夕凪三篠句会
「三篠公民館まつり」
令和4年11月12日~13日
わたくしは四季咲き微香汗もかく 水口 佳子
鬼の子の逆しまに見る現世かな 三上フミヱ
新樹光いつしか吾も透き通る 平田香都子
チューリップの弁当箱と行く青野 浜田 幸子
すめらぎの吐息の聞こゆ美術展 浜田 開蔵
銀漢のあふれ朝刊濡らしけり 西濵恵美子
どんぐりの林を抜けて妹の墓 中山勢津子
野紺菊吾を呼ぶ母の声遠し 高橋 智子
KOMOREBIてふ日本語のある真夏かな 櫻井 美祥
みなづきや被爆ユーカリ渇きたる 柿川 節子
弁慶の両目が寄りぬ新走 石川レイ子
初茄子の朝のしづくを払ひけり 有井まさ子
蓑虫や頸を継ぎたる野の仏 永井 勝弘
「加計だより」⑮
安芸太田町 文化・芸能フェスティバル
令和4年10月16日
望の夜の月餅食ひ出ありにけり 飯野 幸雄
まんじゆしやげ大石小石船着場 小西佐和子
いわし雲湧かせて凪の日本海 堀江 広恵
鄙ぐらし降る月光を欲しいまま 淺田 洋子
蔦紅葉這ひゆく先の一葉まで 淺田 洋子
稲の香の漂ふ中の握り飯 斉藤久美子
芋の露マイムマイムの踊りの輪 斉藤久美子
十耕や膝つゑにして大根蒔く 齊藤たえ子
胎動に添ふる手和し十三夜 齊藤たえ子
そぞろ寒一人ちようどの汁温め 佐々木紀枝
山茶花よ童謡の節さらり出る 佐々木紀枝
燈火親しカムイの森のものがたり 吉尾 隆恵
教室の喧騒吸ひて秋高し 吉尾 隆恵
夕霧の磨りガラスめく里あかり 河野由美子
送りたる影を追ひかく花野かな 河野由美子
畑賀俳句グループ 吟行気分の6月句会
令和4年6月27日(月)
小流れは奏でる如し立葵 エミ子
篤農の道具道楽茄子の紺 啓 子
蛍ぶくろ古都に息吹きの海鼠壁 恭 三
夏草や傾く家の錆びし鍵 睦 枝
蛍袋訃報の多き齢なり 紀美子
うつらうつらほたるぶくろの中かしら 櫻 女
新緑の中ベビーカーの五六台 妙 子
沢径の蛍袋に日矢届く いつゑ
植え継ぎていきおいずきし植田かな 純 子
水無月の浄水場の閑かなり 和 子
「加計だより」⑭ 葉月句会10周年石見吟行
令和4年5月30日
ひとすぢの砂の漏刻夏きざす 淺田 洋子
濃あぢさゐ岩見路ぬらす銀の雨
蛍ぶくろ「げたのは」の音聞いてをり
蕨長く五百羅漢の肋かな 河野由美子
白靴や砂を鳴かせて撮る動画
武家屋敷の低き天井走り梅雨
四千年眠る大木虎が雨 齊藤たえ子
古茶新茶ただ落ち続く砂暦
白南風や鳴き砂に寄す波静か
梅雨に入る語つて欲しき埋没林 佐々木紀枝
何か言ふ瘦せたる羅漢青葉雨
鳴き砂にギュッギュ踏み込む素足かな
格子戸の一輪挿しや夕立風 斉藤久美子
時戻す土壁の町風薫る
羅漢寺のへうきん顔や河鹿鳴く
草の実句会 三滝吟行
令和4年4月15日
春光や地水溢るる龍の口 飯田 和子
菫撮る陽の香の土に跪き 大津 洋子
体中せせらぎに満ち春深し 佐藤 淑子
春陰の岩に御座する羅漢かな 下峠ゆうこ
へそ見せる妙観音や著莪の花 谷口 博望
水音に合はす呼吸や花は葉に 西濵恵美子
せせらぎや子猫のまゐる四祖師像 松﨑 文子
一つだけ祈りたる坂桜草 湊崎 悦子
春光に染み渡りたる僧の声 片山 京子
のどけしや木漏れ日の石畳行き 津田 礼子
春風に天狗も経を唱ふるか 水口 佳子
夕凪三篠俳句会 牛田バラ公園吟行
令和4年5月9日
兵士のごと刺つらなりて花いばら 有井まさ子
薔薇パチン切つて詐欺師の小声かな 石川レイ子
やはらかき黄色の薔薇に吾が名つけ 柿川 節子
薔薇園のベンチの影はマイク真木 永井 勝弘
石棺の如き深紅の薔薇アーチ 中山勢津子
薔薇園を抜け竹林の木洩れ日に 西濵恵美子
妖艶な薔薇にたじろぐ初老かな 浜田 開蔵
ハイブリッドローズ終のひとひらまで開け 浜田 幸子
ゆるやかな曲線の坂薔薇真紅 三上フミヱ
紅薔薇の蕾は淋し咲けばなほ 平田香都子
夏蝶の逡巡したる若き棘 水口 佳子
府中夕凪俳句クラブ
美術部・文芸部合同作品展
令和4年3月15日~3月20日
啓蟄や旅の予約を取り敢へず 飯野 幸雄
春風に学業絵馬の笑ひをり 飯野 幸雄
囀や飽きることなき針仕事 大久保信子
日を孕む雲の明るさ桃の花 粟屋紀佐子
越境は我慢しませう小米花 鎌田 正彌
漕ぎ出せば楽しく高く半仙戯 安田 恭子
苗札の片仮名の名の多さかな 堂垣内 惠
山笑う草木の匂うゴルフ場 水口 英樹
白波の瀬戸の渡しや白つつじ 和木 永次
朝粥のふつふつ裏の山に春 高田久美代
楽器屋の広き入口風光る 叶堂三恵子
春風の固まりとなり女学生 佐々木美登里
月おぼろ変へて忘るるパスワード 廣藤 景子
滾る湯に濯げば若布海の色 浦田 啓子
春風やへそ丸出しに逆上がり 丸山 康子
「と」の文字を逆さに書く子チューリップ 瀬戸けい子
漱石の踏みし敷石春ふかし 菅原 理恵
島あげて祝ふ一人の入学児 大久保信子
「加計だより」 温井ダムミニ吟行
令和4年4月4日
青空へ反り上がるダム山笑ふ 淺田 洋子
遊歩道の何かと楽し百千鳥
風光る雲なき空を鳥の声 斉藤久美子
名を呼べば振り向く山羊や桜まじ
群青の湖面にそよぐ雑木の芽 齊藤たえ子
土手青むしたり顔なる山羊遊ぶ
龍眠るやうに連なる春の山 佐々木紀枝
山羊おやこまどろみてをり春の草
花いかだ深き緑のダム湖ゆく 吉尾 隆恵
ダムの春民話の里の沈みをり
「牛田青葉句会ロビー展」
2021年10月9日~11月13日
東区牛田公民館一階ロビー
友逝くや自慢の栗の渋皮煮 白井 明子
地虫鳴く「独生独死」唄うごと 森崎 祐子
発つ飛機に人ぶら下がる蜘蛛の糸 川崎益太郎
葉の裏が分娩室の蟬の殻 川崎千鶴子
春霰水の地球の息づかひ 坂本 寿枝
新米を手に弾ませて塩むすび 西岡さち恵
白壁の町の静けさ青みかん 黒川 光子
虫の音の音色澄ませる深き闇 川島 幸子
小春日や「光合成」という言葉 高山 岩雄
穭田に百の鳥来て百のこえ 下岡美千代
子らと我泥踏むはだしニュルニュルル 門村 敏子
立夏の雲ゆつくり死者の名を連ね 石川まゆみ
大塚俳句の会 初吟行
令和2年11月25日(水)
西風新都ショッピングセンター周辺
ウインドゥのブーツ小春へ走りたく 藤本 陽子
駐車場に人の蠢く初冬かな 沖津 信孝
冬の蝶園児の列に迷ひけり 甲元多恵子
一袋どれも百円緋の燕 小林 昭博
物陰に「天狗のうちわ」冬日向 小林 栄子
天空の街かと思ふ冬青空 田中 章代
山積みのマスク横目にショッピング 西村 廣子
晩秋の葉よワイパーにささりをり 吉田真知子
ロビー展開催
日時 10月10日~11月14日
場所 牛田公民館一階ロビー
古戦場ひなげし私ながれゆく 石川まゆみ
夕の風紅葉の色をなだめおり 西岡さち惠
恋占は風にまかせる秋桜 森崎 祐子
草原に一筆入れる秋茜 下岡美千代
慎ましく生きて鉢植茄子一つ 黒川 光子
菜園の主権争う犬ふぐり 佐渡 順三
「黒い雨」判決控訴鵙猛る 川崎益太郎
太古より暴走族のかなぶんぶん 川崎千鶴子
肩も癒え前に進まん秋桜 川島 幸子
ひまわりの花芯に潜むゴッホの精 高山 岩雄
道連れは初鶯でありにけり 坂木 寿枝
ありったけの色パレットに葉鶏頭 白井 明子
☆ 第45回畑賀福祉まつり(畑賀福祉センター)
令和2年2月23日(日)
すがしめの百寿祝ふや初句会 村本 恭三
近江路の旅に出合いし春の雪 白石スミ子
初蝶に水辺の風のやや固し 阿地部エミ子
子の声の天に届きぬ凧日和 入野 和子
踏み台に背伸びして屠蘇供へけり 多久和多恵子
光りたる土もち上げて春の草 竹内 睦枝
修復の岸壁白し寒の明け 田部紀美子
猫寝まる陶房までの花野道 田部 春子
山に還る山の畑や花うつぎ 弐百免啓子
鴨の水脈折り重なって二等辺 原田 妙子
日脚伸ぶ背戸の傷あとそのままに 樋藤 純子
薄氷を踏んで木霊の立ちあがる 水木 悠子
正客の所作ゆるやかに花衣 矢野いつゑ
単線のここが終点梅日和 波谷 櫻女
☆夕凪加計支部
安芸太田文化・芸能フェスティバル
令和元年10月26日・27日
何處へゆくあてなき春のコート買ふ 小西佐和子
兜太の句諳じてをり原爆忌 小西佐和子
秋風鈴まこと無口な大工かな 堀江広恵
あしらひの萱ひと揺れの風情かな 淺田洋子
はなむけの言葉を少し燕去ぬ 淺田洋子
流木を沈めて秋の川澄めり 淺田洋子
雨傘のやうやく乾き桐一葉 斉藤久美子
大口で咲ふ石榴を描きにけり 斉藤久美子
木染月手形とらぬと泣く赤子 齊藤たえ子
ひと刷毛の雲をいただき運動会 齊藤たえ子
菊生ける所作美しき師と弟子と 河野由美子
ゐのこづち仲良くなつたのいつだつけ 河野由美子
風に乗る桜紅葉を追ひかけて 佐々木紀枝
花八手おくるみの子と里帰り 佐々木紀枝
☆矢野俳句同好会
2019年10月 「矢野公民館まつり」
初鴨へ空より青く湖光る 石田みつ子
向日葵はビタミンカラー目に沁みる 大下 瑠歌
枯葉道わが足音にふり返る 清 充子
ネッシーのさ現はれさうな沼の秋 廣藤 景子
赤屋根の牛舎への道秋深む 高山 良子
風が風追うてさざめく花野道 佐々木美登里
木々の葉の頷き合える秋の風 伊藤 登
朝霧や早立ちをする山の宿 丸山 康子
平和公園銀杏落葉のふんわりと 岩本 恭子
紅葉狩り安芸の宮島異国めく 泉本 聖二
秋高し飴をとり出す八合目 濵野真季花
大空も山も湖水も秋深む 川原美保子
☆段原河童句会
2019年10月
段原公民館まつり初参加
マーガレット番犬のごと門前に 河野 有巨
古希の朝祝ふがごとく寒雀 小松 明美
浅野候四百年を亀鳴けり 小松 清志
白球を飛ばす少年風光る 小宮喜知子
地元紙の見出しに躍る秋祭 田中美代子
夕風や蟹の横切る島の路地 中村 文子
川沿ひのジョギングコース風薫る 福永 操
流燈のこの世立ち去り難く揺る 藤本 陽子
新涼や黄身の揺れたる目玉焼 松永 亜矢
薔薇垣の香のひろがり来雨の中 長田 匡白
☆府中夕凪夏季吟行
広島県緑化センター
令和元年5月20日(月)
一句抄
だれもゐぬウッドハウスや若楓 廣藤 景子
あなどれぬ二歩の段差や山法師 堂垣内 惠
カルミアは耳ピアスかも精霊の 浦田 啓子
夏めくや草の匂ひを運ぶ風 安田 恭子
ほととぎす頻き鳴く下を句座として 大久保信子
そよ風に名札の揺るる新樹かな 丸山 康子
万緑や八十歳はまだ幼 中川佳代子
金色の鯉のさざなみ風薫る 叶堂三恵子
葉桜の「楊貴妃」札に足止めて 江藤加代子
緑さす園に溶け入る句友どち 中野 和子
老鶯に誘はれ迷ふ森の径 鎌田 正彌
深山晴空木の花の紅ほのか 和木 永次
雨催ひ水面に揺るる山法師 高田久美代
万緑や亀十匹の甲羅干し 佐々木美登里
紅うつぎ木木の間の青い空 鵜飼 弘子
若楓の風に佇つ息青むまで 粟屋紀佐子
☆草の実句会3月(兼題「忘」・自由題)
備忘録書き北窓を開きけり 松﨑文子
桜咲き被爆アオギリ忘れらる 谷口博望
おぼろ月取りに戻れぬ忘れ物 川合和子
片方は何処の山か忘れ角 下峠酉子
物忘れくり返しつつ二月尽 島村眉美
朧夜や父の遺せし紙おむつ 増原一美
曼荼羅のぬり絵仕上がる霾ぐもり 飯田和子
ビロードの絨毯となる落椿 片山京子
忘れ物気づかせるごと蕗のたう 西濵恵美子
手術待つ母の背中へ春日差 佐藤淑子
下萌やはなうたはキッチンの夫 大津洋子
樹々のこゑ手は風船をもう忘れ 水口佳子
☆夕凪加計支部
安芸太田町文化・芸能フェスティバル
平成30年10月27日~28日
蔦紅葉這いゆく先きの一葉まで 淺田洋子
追はるるをたのしむやうに稲雀 淺田洋子
十六夜や源泉の沸く音幽か 小西佐和子
十三夜千鳥城下の宿りかな 堀江広恵
延命の水を絶やさず山眠る 前田清子
ひと刷毛の雲をいただき運動会 齊藤たえ子
席ゆずるランドセルの子小春風 齊藤たえ子
葛咲くやドロップ缶の蓋開くる 河野由美子
廃駅の朽ちし置傘姫女苑 河野由美子
からだごと包まれてみる照紅葉 佐々木紀枝
新藁に丸まり眠る仔犬かな 佐々木紀枝
名月へ雲の階段浮き上がる 齊藤久美子
秋の虫珈琲豆を挽きながら 齊藤久美子
☆美鈴が丘きさらぎ句会
秋の吟行~マロンの里~
平成30年10月11日
一句抄
降るものの中を動かず秋の蜘蛛 伊丹典惠
さざ波の弥栄湖の風秋深む 岩合由紀
薄日射すダムの岩肌そぞろ寒 大村摩耶子
焼き栗の痕もあらわや鄙の里 樫本恭子
猪垣に取り囲まるる生家かな 木佐幸枝
栗御飯大きな粒の二つ三つ 榛葉信子
大吉のみくじは肌に小春かな 髙島絹代
転がって虚栗らのあっけらかん 永野真智子
鬼灯を揉みて幼き恋の夢 新本壽子
秋じめり瀬音の低き三重奏 西尾智子
秋水や五官原始に戻したく 西濵恵美子
秋の昼海鮮珍味直売所 西村美和子
名物は大栗と聞き里の市 畠岡紀子
流れゆく川面せかすや秋の雨 馬場キヨ子
落栗の雨にぬれをり湖の国 平井昌子
鳥の声鋭くなりぬ寒露かな 平田香都子
毬栗や四方の山に雲湧きて 藤本陽子
錦木の一際赤き葉に触れぬ 松本加代子
霊峰を彼方において栗の笑む 三上フミヱ
秋冷の少し膨らむ蜘蛛の腹 水内和子
露草は好奇の橤をのばしをり 水口佳子
霧雨の涅槃の如き湖へ降る 矢田部博人
栗の木に梯子のありて秋時雨 山野井康彦