<最 新 情 報>

 

令和六年度 夕凪賞

   「冬ぬくし」    植田トモ子 

   

    赤子抱く小さき土偶あたたかし    トモ子

 

 

 

令和六年度  夕凪新人賞

     「仏桑花」    佐伯 三葉 

 

       仏桑花とまれ訪ふ真珠湾    三葉

 

 

 


《令和六年 夕凪新年句会 》

     と  き   令和6年1月8日(月)

     参加者   43名(投句者・106名)

     会場     ひろしま国際ホテル

 

☆大賞

 茶の花や心澄むまで研ぐ包丁         大久保信子

☆準賞

 神楽笛太郎も次郎も村を去り          竹下 玲子

☆佳作

 開戦日階段ひとつ踏みはずす         佐々木順子

 赤い実が句読点なる枯野かな          伊丹 典惠

 年の瀬や背中で扉押し開ける          佐伯 三葉

 誰の名も忘れし父と聖菓の灯          菅原 理恵

 オカリナは太古の音色冬銀河          植田トモ子

 裸木が裸木をあかるく笑ふ            水口 佳子

 初明り武器よりパンを祈りの火          下末かよ子

 風花や戦の国へ続く空               刀祢 紀子

 亡き夫へ今日の便りや日記買ふ         平田香都子

 

 

 


《夕凪秋季吟行》

  と  き   令和5年10月31日(火)

  吟行地   北広島町 八幡高原 

  参加者   40名

 

<1句抄>~高得点句のみ~ 

秋日濃し句碑に寄り添ふ「スエ子笹」        西濵恵美子

高原の風は不揃ひ枯尾花               森野智恵子

川音を掬ひ芒の波白し               佐々木美登里

日を孕み余命あたたむ花すすき           淺田 洋子

木道に靴音残し暮の秋                 西尾 智子

秋うららふと草の名を句碑に問ひ           高田久美代

風は呪文すすきは老いてゆくばかり         水口 佳子

木道へ薄の穂絮散らしつつ              石田みつ子

秋深しバスは木洩れ日抜けて行く          斉藤久美子

秋澄むや青き瞳のウエイトレス            下末かよ子

肝木の映えてまぶしき秋日かな            高田久美代

湿原に陽の匂ひ棲み花芒               田村ひろこ

野路の秋拾ふ句材のきりもなや            平田香都子

木道にせせらぎの音穂絮飛ぶ             藤本 陽子

秋気澄む錦織りなす臥龍山               丸山 康子

 

 


第76回夕凪俳句大会 

     と  き   令和5年5月258日

      出席者   104名

 

<互選入賞作品>

☆大賞

  まだけんかできる夫ゐて暖かし        植田トモ子

  生き物はなべて曲線春満月          藤本 陽子

☆準賞          

  諦めは安らぎに似て花の雨           戸板 幽詩

  鳥雲に音なく縮む背と海馬           植田トモ子

☆佳作

  本心をさらりと言って四月馬鹿         岡崎宝栄子 

  若竹や男の子四人の米をとぐ          佐々木順子

  命名の筆を干したり木の芽風           斉藤久美子

  ふらここや丸き妻の背ふはり押す        下末かよ子

  うかうかとけふが暮れゆく合歓の花       甲島美智子

  てんでんに鍵持つくらし沈丁花          原田 妙子

  若芝に押し返さるるベビー靴           平石かよ子

 

 


《夕凪春季吟行》

  と  き   令和5年3月29日(水)

  吟行地   安芸区矢野町 

  参加者   45名

 

<1句抄>~高得点句のみ~ 

目じるしは湯屋の煙突花めぐり          丸山 康子

路地裏に残る「日の出湯」うららけし       石田みつ子

傷跡の薄らぐ山の朝桜               三上フミヱ

花冷えのかもじ洗い場遺る川           原田 妙子

狛犬の巻毛たつぷり弥生尽            西尾 智子

貝寄風や浜大仏にもらふ笑み            廣藤 景子

屋根抜けの松を春風抜けにけり          飯野 幸雄

髢洗ひし川は清らか飛花落下           高田久美代

地図ばかり見てをり花は盛りなり          水内 和子

山桜ぽんぽん神馬の駆け出しぬ          西濵恵美子

囀や肩の触れつつ行く小路             浜野真李花

 

 

      

 

 


令和五年度  準同人競詠

   

 第一位 「暖かし」     佐伯 三葉 

     

   二人掛け座席に二人暖かし     三葉

 

 

 第二位 「花菜風」     丸山 康子 

 

     婿三人揃ふ宴の今朝の春     康子

 

 

 第三位 「山椒の実」    定成 俊明 

 

    境内の淑気に仁王の面構へ     俊明 

 

 

 

 

水中花あすの形を夢想せり 佳子
水中花あすの形を夢想せり 佳子

草稿を飛び出してゆく白日傘 佳子
草稿を飛び出してゆく白日傘 佳子

  

令和五年度 夕凪賞

   「月渡る」    すずき穂波 

   

      身の央の分水嶺を月渡る     穂波

 

 

令和五年度  夕凪新人賞

     「旱 星」    浦島 恭子 

 

        ウクライナへ続く空なり旱星    恭子

 

 

  

 


《令和五年 夕凪新年句会 》

     と  き   令和5年1月9日(月)

     参加者   43名(投句者・106名)

 

☆大賞

 千年の恋を取り合ふ歌留多会         有井まさ子

☆準賞

  一打ちに土の息づく鍬始            大久保信子

☆佳作

  呼び鈴鳴っており障子貼っており        木村 幸枝

  四角にも丸くも生きて実南天          谷本喜代子

  長き夜や旅終へしごと閉づる本         植田トモ子

  さみしくてポインセチアの炎買ふ         小路 律子

  晩学に牛歩なほよし小春空            有田 幸恵

  もう一度呼ばれるまでの日向ぼこ        石岡 正信

  山里へ八十路の帰農蕪汁             浦田 啓子

  冬日燦君と暮した家捨てる            戸板 幽詩

  子等送り小さき夕餉となる四日          森野智恵子

  バックミラーの父母遠ざかる冬銀河      土井 清玉

  八手咲きまだ頼られてゐる余生         小路 律子

  

  

 


《夕凪日帰り吟行》

 と  き     令和4年10月31日(月)

 吟行地     呉市御手洗、県民の浜

 参加者     26名

 

<1句抄>

 七つ目の橋は伊予へと秋日燦        藤本 陽子

 どの路地を抜けても真青浦の秋        廣藤 景子

 秋うらら時計屋きざむ島時間          高田久美代

 密談の声洩るるかに秋の風           飯野 幸雄

 どの路地も海に行きつき秋日燦        村本クニ子

 時計屋は「見学禁止」ひよんの笛        波谷 櫻女

 島小春銀糸の紡ぐ海一枚            高橋 康代

 潮待ちの町は人待ち秋うらら           鎌田 正彌

 交易船の行き交ひし海みかん熟る       西濵恵美子

 風待ちの身に入む波の光かな         大津 洋子

 身に入むや胡子屋跡の門構へ         三上フミヱ

 可能門くぐり夢追ふ高き天            有井まさ子

 小春日や右から始まる医院名          森野智恵子

 名残てふ千本格子石蕗の花           田村ひろこ

 行く秋の潮待ちの路地細格子          佐々木美登里

 鎖されし井戸鵯のこゑ鵯の影           水口 佳子

 秋気澄む白波の立つ県境             西尾 智子

 島は秋波の侏儒らに迎へられ           佐藤 房子

 休憩所はもと百貨店秋の天            村本 恭三

 晩秋の「ドライブ・マイ・カー」のロケ地へ     榛葉 信子

 胼割れし樗堂の指の合掌す            下末かよ子

 石積みの波止のかもめや秋の波          名倉 みお

 小鳥来る島に大きな常夜灯             原田 妙子

 往年の映画のポスター残る虫            淺田 洋子

 秋深し耀ふ波に聴く歴史               平田香都子

 架け橋の向かひの街はみかん山         竹内 睦枝

 

 

 


《夕凪秋季吟行》

  と  き   令和4年10月20日(木)

  吟行地   安佐南区緑井地区

  参加者   36名

 

<1句抄>~高得点句のみ~

徘徊にあらず吟行柿熟るる              伊藤  登

裸婦像に着せてやりたき秋日かな         森野智恵子 

蘆の穂にこの世は傾いてをりぬ          水口 佳子  

抜け道はデパートの中秋日和            伊丹 典惠

 

来し方の遮断機いく度秋桜             岡田 匡恵

綾取りのごとき陸橋秋の空              叶堂三恵子

可部線に沿ふ路地長し萩の風           田村ひろこ

小さき駅出ればビル群天高し             清   充子

せせらぎの砂なめらかに秋日影            浜野真李花

 

 

 

 


前傾の総理八月六日の歩 佳子
前傾の総理八月六日の歩 佳子

第75周年記念夕凪俳句大会 (通信句会)

     と  き   令和4年5月29日

      出席者   104名

 

<互選入賞作品>

☆大賞

  早苗束声と一緒に飛ばしけり        佐々木順子

☆準賞

  桜二分木綿のやうなみすゞの詩       品川 映子

☆佳作

  鳥帰る国境線の無き空を           有井まさ子

  鳥帰る和平の文を持たせたし         山本富士子

  単調な暮し金魚と領ちけり           木村 幸枝

  雛壇は逆縁の子の隠れ場所         戸板 幽詩

  望郷の高さに揚がる雲雀かな         高田久美代

  かげろふに砲身はどこへでも向く       水口 佳子

  初蝶や白も黄色も同じ影            西尾 智子

  薫風をつれて乗り込む路線バス        高田久美代

  卒寿てふおもひをしかと青き踏む       佐藤 房子

  薫風や寝顔のわらふ赤ん坊          徳毛 佳美 

  霾るや戦禍恐れぬこと恐る           浦島 恭子

  二拍子に音とぶ水車春きざす         田村ひろこ

  たまたまの出会ひが一生さくらんぼ      すずき穂波

  

 

 


        夕凪特別賞

 

 小西佐和子

   生かされて花の種選るかさこそと   佐和子

 

 佐藤  房子

   柿若葉成すことあらば背筋伸ぶ   房 子

 

 二宮千鶴子

   夜の雪は匂ふと言ひて寝返りぬ   千鶴子

 

 堀江  広恵

   芽起こしの雨の音するひと日かな   広 恵

 

 

  

わたくしは四季咲き・微香・汗もかく  佳子
わたくしは四季咲き・微香・汗もかく  佳子

声にならざり紫陽花の私事  佳子
声にならざり紫陽花の私事  佳子

 

令和四年度 夕凪賞

   「卑弥呼の国」  鎌田 正彌 

   

       水行二十日卑弥呼の国の大旦  正彌

 

 

令和四年度  夕凪新人賞

     「う さ ぎ」    佃  あや 

 

        うさぎうさぎ秋の入り口こちらです   あ や

 

 

 


  令和四年 夕凪新年句会 (通信句会)

    と  き   令和4年1月10日

     参加者    100名

 

<互選入賞作品>

☆大賞

  初鏡夫がはんぶん映り込む          水口 佳子

☆準賞

  八十路なほ余生にあらず冬紅葉       有田 幸恵

☆佳作

  落葉径巴里を見ぬまま老いにけり      植田トモ子

  流星に秘密さらりと解き放つ          植木すみ子

  着ぶくれてひたすら磨く孤独力        木村 幸枝

  三割は盛つた話や初笑             小林 昭博

  実の熟れて秋がぽろんと落ちてくる       藤本智恵子

  足るを知るしづかさにあり冬隣         有田 幸恵

  日向ぼこどんなあなたも受け入れて      藤本 陽子

  来し方や引けば零余子のほろほろと      植木すみ子

  木洩れ日を切り取るやうに柚子を採る     河野由美子

  地球儀の知らぬ宇宙や寒昴          筈谷 美保

  小春日や予定なき日のうす化粧        為安 恵子

  もう会へぬと思ひつつ書く賀状かな      小路 律子

  寝癖まで元気な五歳淑気満つ         村本 恭三

 

  

 

整列しお辞儀し春は散り散りに 佳子
整列しお辞儀し春は散り散りに 佳子

改行のたび風になる秋の稿  佳子
改行のたび風になる秋の稿  佳子

  第74回 夕凪俳句大会 (通信句会)

     と  き   令和3年5月

      出席者   103名

 

<互選入賞作品>

☆大賞

  花の種蒔いて余生のふくらみぬ      木村 幸枝

  産声のまだ濡れてをり桃の花        植木すみ子

☆準賞

  行く春や画鋲ばかりの掲示板        為安 恵子

☆佳作

  若草に解く弁当の蝶結び           有井まさ子

  チューリップ一人走ればみな走る      石田みつ子

  何もかも忘れる途中亀鳴けり         弐百免啓子

  椿落つ出来るかぎりと言ふ無力        藤本智恵子

  齢とは悲喜の数とも新茶汲む         森野智恵子

  渓流に魚影の奔る立夏かな          岡崎宝栄子

  初蝶やまだつけている躾糸          川崎益太郎

  エルメスの馬が飛び出す春ショール     中山勢津子

  ひかり抱く輸液のしずく聖五月         佐藤伊佐雄

  母の日の母の指から聞く話           村本 恭三

  翅音とも母の声とも藤の昼           浜野真李花

  

 

 

 


             

令和三年度  準同人競詠

   

 第一位 「蛍」     永井 勝弘 

     

   一灯を待ちて蛍の飛び立てり   勝弘

 

 

 第二位 「多色摺り」  叶堂三恵子 

 

     極月や八十枚を多色摺り    三恵子

 

 

 第三位 「雲の峰」    有田 幸恵 

 

    キャンパスの階つづく雲の峰   幸恵 

 

 

 

 

             

令和三年度  準同人競詠

   

 第一位 「蛍」     永井 勝弘 

     

   一灯を待ちて蛍の飛び立てり   勝弘

 

 

 第二位 「多色摺り」  叶堂三恵子 

 

     極月や八十枚を多色摺り    三恵子

 

 

 第三位 「雲の峰」    有田 幸恵 

 

    キャンパスの階つづく雲の峰   幸恵 

 

 

 

 

涼しさやナミマガシワの移り気の  佳子
涼しさやナミマガシワの移り気の  佳子

さつきまでそこにゐたひと朧月  佳子
さつきまでそこにゐたひと朧月  佳子

 

令和三年度 夕凪賞

   「のびやかに」  森野智恵子 

   

    下萌や猫のびやかにうらがえる    智恵子

 

 

令和三年度  夕凪新人賞

     「光陰」    佐藤伊佐雄 

 

         光陰に刻む時刻や敗戦忌   伊佐雄

 

 

 

 


 

令和3年 夕凪新年句会 (通信句会)

   と  き   令和3年1月

    参加者    104名

 

☆大 賞 

  音もなく拾ふ齢や根深汁         粟屋紀佐子

☆準 賞

  長き夜や子と別々の灯を点し       二宮千鶴子

  句読点ほどの休息赤蜻蛉         三上フミヱ

☆佳 作

  少女羽化少年脱皮初鏡           村本 恭三

  幸せは働くこの手水温む          武藤 晴子

  どんぐりの用事あるかに肩を打つ      粟屋紀佐子

  武者と姫匂ひは同じ菊人形         有井まさ子

  ただならぬ世を斜交ひに葛湯吹く     植木すみ子

  アイロンのぬくみごと着る冬のシャツ    佐々木順子

  せせらぎの明日は大河の春の水      伊藤  登

  許さるる余生は知らず縫始          大久保信子

  四日はや又一合の米を磨ぐ         村本クニ子

  二つ三つ嘘もつき来て木の葉髪       香川川也子

  毛皮着て背徳一つ隠したる          森  郁子

 

 

  

 

しののめの蝶の産毛のみるく色  佳子
しののめの蝶の産毛のみるく色  佳子

かうもりの薄目や街を行くマスク  佳子
かうもりの薄目や街を行くマスク  佳子

第73回夕凪俳句大会(通信句会)

     令和2年6月

 

互選入選作品

☆大賞

 死ぬに力生きるに力飛花落花       藤本 陽子

☆準賞

 うぐひすやつくづく不要不急の身     竹下 玲子

☆佳作

 街薄暑波打って来るマスクの目       木佐 幸枝

 つばくろの一閃言葉追いつかず      竹下 玲子

 麦秋や地図に載せない生きる道      村本 恭三

 寄書きの隅の片恋若葉風          筈谷 美保

 青き踏み海馬を深く耕しぬ          木村 幸枝

 をちこちを褒めてひとりの花行脚       波谷 櫻女

 白髪の母の洗礼リラの花           守屋 直子

 今日生きて今日の桜を仰ぎをり       植木すみ子  

 橋いくつ渡れば故郷花みかん        藤本 陽子

 全山のこそばゆげなる芽吹きかな      永井 勝弘 

 辻褄の合わぬ言い訳茗荷の子        森  郁子   

     

 

 


メリーゴーランド止まれば虹の立つ駅舎 佳子
メリーゴーランド止まれば虹の立つ駅舎 佳子

     令和二年度  準同人競詠  

 

 第一位 「梧桐」  柿川節子 

     

    梧桐の二世あをあを伸びにけり   節子

 

 

 第二位 「ヒロシマ暦」  佐藤伊佐雄 

 

     亡魂の惑はず戻れ初桜    伊佐雄

 

 

 第二位 「北の章」  長尾良志子 

 

     捲りてもめくりてもなほ冬青空   良志子  

 

 


 

  令和二年度  夕凪賞

   「春惜しむ」  植木すみ子 

 

     しばらくの刻をソファーに春惜しむ   すみ子

 

 

  令和二年度   夕凪新人賞

    「さくら五分」  斉藤久美子

 

      さくら五分一輪車の子背すじ伸ぶ  久美子

   

 

初蝶にまだ下描きのやうな翅  佳子
初蝶にまだ下描きのやうな翅  佳子

☆令和2年夕凪新年句会

 

 とき   令和2年1月13日(月)

 ところ  ホテルセンチュリー21広島

 

〇互選入賞作品

☆大賞  

  ほどほどの距離おく暮らし福寿草     髙橋 康代

☆準賞

  人生はぜんぶ足し算日向ぼこ       すずき穂波

☆佳作

 恙無き人は聞き役女正月         大久保信子

 春炬燵子に指を貸し「八たす三」     淺田 洋子

 神苑の大樹の鼓動初明り          伊藤  登

 冬暖かまるまつてゐる辞書の角      植木すみ子

 一片の柚子にふくらむ椀の味       植田トモ子

 先見えぬことの幸せ炬燵猫         刀祢 紀子

 過去よりも短き未来おでん煮る       森野智恵子

 今が好き今こそ大事返り花         有田 幸恵

 今朝のこと忘れたる君日向ぼこ       佐々木順子

 霜柱踏みて地球の声を聴く         木村 幸枝

 


☆一泊吟行

 

  と き   令和1年10月30日(水)~31日(木)

  ところ   出雲(出雲大社、加賀の潜戸、黄泉平坂、他)

 

(一次句会)

 千キロの注連をくぐりて秋惜しむ        原田 妙子

 神々の寝間の鍵穴新松子           平田香都子

 金風や千木のたかきに鳩群れて       波谷 櫻女

 新垣を抜け玉垣へ秋の風           飯野 幸雄

 舞台めく阿国の墓石秋うらら          徳毛 佳美

 あでやかに阿国舞ふかに秋の蝶       森野智恵子

 出雲路は神と寝る旅神無月          川崎益太郎

 秋惜しむ稲佐の浜に跡残し          鎌田 正彌

 秋の潮稲佐の浜の砂光る           谷口 博望

 十九社の鍵穴しかと秋季澄む        西尾 智子

 神神の声や稲佐の波の花           森  郁子

 玉じゃりの継目の闇や小鳥来る        竹内 睦枝

 色変へぬ松や大社の粛粛と          村本クニ子

 日か月か聞きつ問はれつ霧を行く      岡田 匡恵

 社梁小春蟇の股に虎躍る          下末かよ子

 神迎ふ響もす浜の秋入日           淺田洋子

 注連縄の重きうねりや秋の風         松本加代子

 神迎へたてまつらむや秋の潮        西濵恵美子

 八雲山背に千木の天ことり来る        村本恭三

 霧を抜け出雲の幸へ縁結び         川崎千鶴子

 石蕗の花石うすのごと阿国墓         榛葉信子

 出雲路へ用意しており羽織るもの     樋藤純子

 

 

 


 ☆夕凪秋季吟行

   

    と き   令和元年10月19日(土)

    吟行地  宇品港周辺 

 

 <1句抄>~高得点句のみ~

 秋冷や墨絵ぼかしの安芸小富士     品川 映子

 朝霧やひと待つ椅子は海へ向く      石川まゆみ

 秋霖やモノクロとなる瀬戸の海       甲島美智子

 秋深む雨の港の方位盤           石田みつ子

 朝霧や神の島へと船首上ぐ        植木すみ子

 行く秋や下船の中の喪服客        三上フミヱ

 似島の秘事隠すかに秋しぐれ       川崎益太郎

 ローソクのやうな灯台霧深し        村本クニ子

 秋潮にきゆきゆとなきたる舫ひ舟      森野智恵子

 「行かばわれ」と子規出航の港秋      網本 章子

 船べりをたたく秋波旅ごころ         有田 幸恵

 秋光のけはひ波間に雨上がる        高田久美代

 比治山下経由宇品に浦祭          波谷 櫻女

 秋霖やひそかに変はる海の色        平田香都子

 朝霧やベンチは潮の香にまみれ      水口 佳子

 秋の波合図も阿吽フェリー着く        矢野いつゑ

 

 

 


 

☆第72回夕凪俳句大会

 

  と き   令和元年6月2日(日)

  ところ    ホテルセンチュリー21広島

 

 〇互選入賞作品

 大賞  被災地の風分け合うや鯉のぼり    竹内 睦枝 

 準賞  囀を残し分校閉ざさるる         大久保信子

  〃   問診に小さき嘘や春の昼         塚本みや子

 

 〇佳作

   せせらぎの風に帆を立て水芭蕉      粟屋紀佐子

   宙にブラックホール地に蟬の穴       鎌田 正彌

   落石の鎮もる川や夏の月           筈谷 美保

   一合を頼りなく磨ぐ暮の春          浜田 幸子

   妙薬となりし一筆風光る            三上フミヱ

   鉄線や拳ほどかぬ男泣き           村本 恭三

   膝がしら透けるジーンズ春の風       植田トモ子

   文字小さき岩波文庫亀鳴けり        二宮千鶴子

   書きかけの稿そのままに春帽子       石田みつ子

   小石ひとつ遠く放るや啄木忌         植木すみ子

   影もまた農婦に然り春夕焼          弐百免啓子

 

 

     全員集合
     全員集合
   飯野幸雄代表あいさつ
   飯野幸雄代表あいさつ

  花人を待っている・・・
  花人を待っている・・・
   名句誕生!
   名句誕生!

 

☆夕凪春季吟行

 

と  き   平成31年4月7日(日)

吟行地   広島市京橋川緑道公園

 

<1句抄>~高得点句のみ~

 橋の名に軍都の名残さくら満つ         西尾 智子

 市議県議市長選挙日花万朶           藤本智恵子  

 岸によるたつきの芥花曇             石田みつ子

 戦禍知る工兵橋や春惜しむ           丸山 康子

 工兵橋揺れてわたしは花に酔ふ         藤本 陽子

 工兵を送りし桜かも知れず            川崎益太郎

 兵の父の渡りし橋よ飛花落花           村本クニ子

 風待ちの挿す棹のなき花筏            森野智恵子

 新しき元号のせて花筏               升田 浩子

 糸遊や兵士の足音木橋過ぐ            波谷 櫻女

 

  

 


平成31年夕凪新年句会

 

   と き 31114日 

   ところ ホテルセンチュリー広島21

 

  ○互選入賞作品

   大賞 マフラーにさらりと包む孤愁かな  植木すみ子

   準賞 余震なほ宙を見つめる捨案山子  戸板幽詩


   〇佳作

       茶の花や影絵のやうに里ねむり     徳毛佳美

    爪切りて爪を拾うて日向ぼこ       石岡正信

    新聞を広げたほどの冬日かな      櫻井美祥

    軟膏の匂ふ指先冬に入る        高田久美代

    ジェラシーを埋火として老いにけり   木村幸枝

    我だけは死なぬ気のする冬日向    浜田幸子

    風止んでつまらなくなり秋桜       永野真智子

    余生にも未来のありぬ麦は芽に     森 郁子

    秋茄子老いてますます自己主張     川崎千鶴子

    外つ国の空の色聞く初電話        片木節子

    寒紅や今なら言へる過去のこと     村本恭三

    日脚伸ぶ雲梯の子がへそ出して     佐々木順子

    切符買ふごと三年の日記買ふ      小路律子

    国境を旅券も持たず鳥渡る        片木節子

    平凡が良し平凡で良し牡蠣啜る     中山勢津子

    いにしへの土のこゑ聴く鍬始       浦島恭子

    代表挨拶
    代表挨拶
三篠俳句会と出席者全員の合唱
三篠俳句会と出席者全員の合唱

☆夕凪秋季吟行

 

  と き  平成30年11月16日(金)

  吟行地  安佐南区緑井地区・せせらぎ公園

 

 <一句抄>~高得点句のみ

  秋蝶と別れて歩幅決まりけり         植木すみ子

   冬川の薄日かへして雑魚群るる      徳毛 佳美

   寒禽や渡る木の橋石の橋         原田 妙子

  せせらぎの音も光も冬初め         村本クニ子

  飛び石に流れ遊ばせ冬の川      有田 幸枝

  流さるることの遊楽を番鴨           水口 佳子

  町騒を遠くに紅葉散り急ぐ          佐々木美登里

  跳べさうな川巾なれや秋津飛ぶ     徳毛 佳美

  走り根にたまる木の実や鳥の声     弐百免 啓子

  せせらぎにわが影ゆれる小春かな   為安 恵子

  対岸をつなぐ飛び石紅葉散る          窪田 順子

  茶房めく小児科医院小鳥来る      谷本喜代子

  ゐのこずち毟ってをれば又触れて   有井まさ子

  せせらぎの風が唄って園小春       粟屋紀佐子

  せせらぎに小さな中洲鴨の国       飯野 幸雄

  せせらぎは川を離れず冬の雲      川崎益太郎

  

  


   満奇洞(新見市)
   満奇洞(新見市)
  星空ペンションの前で
  星空ペンションの前で
    吹屋の町並
    吹屋の町並
  府中民俗資料館にて
  府中民俗資料館にて

 一泊吟行

 

    と き  平成301029~30

    ところ  岡山県美星町天文台など

 

      <一次句会>

       弁柄の褪せし街並み小豆干す    西尾智子

       冬うらら『電話二番』の珈琲店   淺田洋子

       満奇洞に偲ぶ晶子や紅葉燃ゆ    森野智恵子

       瓦・壁・格子ベンガラ赤とんぼ   川崎千鶴子

       鍾乳洞冷まじ時がぶら下がる    松本加代子

       馬止めの鉄輪の錆や残る虫     徳毛佳美

       秋日影連れてベンガラ色を変へ   平田香都子

       あっ!と言いえっ!とピーマン売れにけり

                         波谷櫻女

       秋惜しむベンガラ色の一筆箋    藤本陽子

       秋思なほ夕一便のバス送る     鎌田正彌

       錦秋の洞億年の時空かな      西濵恵美子

       満奇洞に姫も仁王も冬うらら    村本クニ子

       鍾乳洞出れば紅葉の明るさに    水内和子

       高速道のすすき穂ゆらすバスの影  加藤淑江

       秋麗や滑り育む鍾乳洞       粟屋紀佐子

       秋の風まとう隠し戸からくり戸   升田浩子

       朝霧やバスに揺られつ恋ふる里   下末かよ子

       ベンガラの染めるもみじ葉格子窓  川崎益太郎